大学で働いていると企業との共同研究を行うことがあります。最近では予算が削られてしまい研究を続けるために企業との共同研究を行うことが増えています。多くの研究室はお金がないけど学生を取っているのが現状です。

鼻が利く人たちはお金になる研究テーマを選んで積極的に企業にアピールして億を超える研究費を得ています。このような研究室では研究費が潤沢でお金で研究がストップすることはありませんし、雇用を打ち切られる心配もあまりありません。
代表が所属していたシドニー大学のSchool of Physicsの研究室はと言うと常にお金が無い状況で、まさに火の車でした。最も大きな理由が教授であるDavidがお金に無頓着なことなのですが、そうはいっても研究を進めて行かなければなりません。お金が必要なのです。頑張って予算を集める日々でした。

そんなこんなで本来研究はお金を稼ぐことではなく未知の解明が目的なのですが、大学はどこも技術サポートを行う会社で給料をもらうどころか学費を払う学生を使って教育しながら研究を進めている訳ですから、普通の企業とは異なっています。
普通の企業なら従業員に給料を払って仕事をしてもらいますが、学生がお金を払いながら仕事をしています。因みにオーストラリア人なら学費は無料です。
しかし、大学側も本来の目的である研究を忘れているわけではありません。教授や研究員は論文の数や引用数で評価されますので、むしろ研究の方が大切なのです。なので、一見企業に寄り添っているように見えて実際は最大の目的が論文を書くことなのが大学なのです。
一方の企業はと言うと、目的は株主利益の最大化です。とにかくお金を稼げる商品を作りたい、そのための技術課題を解決したい、しかし自分たちのリソースや知識だけでは解決が難しいので課題解決を外注したい、これが企業が大学と共同研究を行う最大の理由です。
企業の担当者的にはいつもの発注のごとく、外注したので約束の期日に結果が出てくると思います。企業の仕事ですから当たり前です。しかし、大学は思ったようには動いてくれません。何故だ?何のためのお金を出したんだ???となりイライラがたまっていきます。
大学で働いたことと企業のサラリーマン経験があるので、私にはどちらの状況もわかります。最も大きな理由は学生に任せているからです。しかもほったらかしの場合も多いです。そもそも学生で研究開発の仕事が出来る人は少ないので、アウトプットが出にくいんですね。
しかも、学生は学位が取得できればいいのでそれまでの仕事にしかモティベーションがありません。正直な所、自分が卒業して以降はどうなってもいいわけです。なので、論文が書ける要点だけ終わるとはい終了、となり仕事が止まってしまいます。
組織的にも問題があり、知識と経験が豊富な百戦錬磨の優秀な教授とその下にひよこレベルの学生の組み合わせだと上手く行き辛いです。教授は授業もやりますし、研究室の維持管理や会議などで時間を取られてしまうので、学生の面倒までしっかりと見れないのが現実です。
企業の担当者は教授と話しているとこの人は凄い!となりますが実働部隊が学生たちなのでやはりアウトプットはぱっとしません。
ただ、教授と学生との間に助手や助教などがいると指導しながら研究を行えるので潤滑油のようになり生産性がアップします。ちょうど私がこんな感じで学生が詰まっていると実験装置を組んであげたり測定してあげたりしていました。
学生が本当に困った時に少し手助けしてあげるともともと優秀なのでその後すごいいい仕事をするようになったりして、成長を見るのが楽しみになったりしていました。懐かしいですね。
他にも大学で博士号を取得した後の使い方にも色々と問題がある、と言う先生もいます。特に、日本の悪い所として指摘されていましたが、日本の企業は博士の使い方を間違っている、とのことです。前述の通り博士号取得者は大学で博士論文を書くためにプロジェクトを進め、博士論文や学術論文の書き方を教授から学ぶものです。
その後企業に就職してもその流れで仕事をしてしまうので企業側から上手く使えない、と言う印象を持たれてしまうことが多いと感じています。企業でよく耳にしたのが博士は使いにくい、です。
しかし、そもそも博士の仕事は研究であり、商品開発ではありません。それにもかかわらず企業側は博士号取得者を採用後に学士や修士と同じ仕事をさせます。この点が博士の使い方を間違っている、と言われる理由です。
一方で、企業からしてみるとじゃあどうしろと?と言う声が聞こえてきます。身もふたもないですが、博士号取得者のほとんどは企業で働くのではなく、大学などの研究機関で働くべきなのかもしれませんね。なぜなら技術者のように技術のプロではなく研究のプロですから。
企業と大学ではシステムのみならず人材の性質も少々異なっていますので、どうしても歯車がかみ合わない場合が出てきます。
実際に教授も独特の方が多く、David教授の近くにいてよく話をしましたが、Davidが一般企業で働いていることを最後までイメージできませんでした。ちょっと浮世離れしていると言うか、自分の世界に浸っていると言うか、逆にだから科学者としてとびぬけた結果を出せたのでしょう。事実、Davidの洞察力はとびぬけ優れていました。
メールは基本見ず未読が20万件ありましたし、自分でミーティングを設定しておいて奥さんと旅行に行っていたり、パソコンの画面にワードファイルなど大量に開いておきながらパソコンが遅いとぼやいていたり、ダブルブッキングやトリプルブッキングは当たり前でよく居室の前に人だかりができていました。ただ、そんなDavidを悪く言う人は一人もいなかったです。
私もほとんど起こることもなかったと言うか、ああ、Davidがまたやったか、くらいにしか思っていませんでした。私が子供の頃にイメージした科学者そのまんまと言うか、そんなDavidと一緒に研究をすることが楽しかったですね。
まあ、そんなこんなで大学側のアウトプットが企業が求める水準まで達していなければ企業側は怒りますが、大学側は論文が書けたし学位も取らせることが出来たし大満足、となってしまいます。これはそもそも目的の違いからくる齟齬なのですが、企業と大学の両者の性質上起こり得ます。
だから、企業側には大学を良く思っていない人も多いです。そんな大学を上手く使う際に一つ言えることは、共同研究先の選び方と使い方に気を付けることでしょうか。企業出身の先生ならば企業の立場も理解できるともいます。また、課題の設定を簡潔にして企業の技術者のような使い方をしないことが大切なんだと思います。
私が技術サポートの会社を設立した理由もここにあります。大学の研究室レベルの技術サポートができれば会社としてやっていけるかな?と思い会社を作りました。私の場合は論文や特許には目もくれず100%企業側に立ち、技術サポートに徹しています。また、平均的な大学の研究室並みのサポートが出来ていると思っています。今でもサポート先の企業様からのご依頼で実験を行いアドバイスをすると共にレポートなどを書いています。
一度はどこぞのメガバンクの担当者との打ち合わせになぜか私がサポート先企業の一員として参加して担当者に資料まで作って色々と説明をしたこともあります。その結果融資にGoサインが出たので一安心でしたが、割と本気で焦りました。失敗したらどうしようって。。。
その会社さんはそんなに大きな会社では無いので私みたいな技術や科学をやってきた人材が雇うのが難しいので、私みたいな存在がちょうど使いやすいんですね。困ったことがあればとりあえず相談を受ける、と言う感じです。
相手の役に立つことを積み重ねれば当然信頼関係が強くなります。もう長いお付き合いになりつつありますが、たまに一緒にお酒を飲んだりする関係になっています。このような関係になれればお互いを理解しているし信頼関係も出来ているので技術サポートが非常にやりやすいんですね。
しかも、業務委託ですのでスポットで依頼されますので社員として雇うよりも断然安上がりで済みますし、私も余った時間は他の仕事したり温泉に行ったり適当にのんびりしていますので私としても会社に縛られないこんな生活が良いです。
そんなこんなで技術サポートをご希望の企業様を募集しております。興味のある方は是非とも連絡フォームからお問い合わせください!些細な悩みでも構いません。もちろん相談だけなら無料です。