脱炭素を加速させる新技術であるペロブスカイト太陽電池の現状

ペロブスカイト太陽電池とは?

ペロブスカイト太陽電池は、次世代の太陽電池と呼ばれており、これまでのシリコン太陽電池にはできなかった用途で使用可能になると期待されています。一昔前はペロブスカイトと言えば超伝導体や強誘電体などをイメージしましたが、最近では太陽電池のイメージが付いていますね。

シリコン太陽電池はシリコン結晶やアモルファスシリコンを用いて作られます。シリコンの原料は二酸化ケイ素であり岩石に多く含まれています。特に二酸化ケイ素濃度が高い岩石は硅石などと呼ばれており、日本では伊豆などで産出されています。二酸化ケイ素には酸素が二つくっついており、化学的に安定していますが裏を返せばこの酸素をシリコンから引き離すのに大量のエネルギーが必要になります。つまり、シリコンを作る際には1500℃程度の高温が必要であり大量の熱エネルギーが使われています。

一方のペロブスカイト太陽電池は有機物が主体であり、さらに製造時の温度も100℃程度で済むために製造時に必要なエネルギーが少なくて済むために、シリコン太陽電池と比べて製造時のCO2排出が少ないという特徴があります。また、製造には印刷技術が使われており、透明シート上に印刷されて作られています。また、薄いために光をある程度通すのでガラス窓に設置することも出来ます。

ペロブスカイト太陽電池とシリコン太陽電池にはそれぞれ一長一短があります。例えば、ペロブスカイト太陽電池は薄くできるためにフレキシブルな基板上に作ると曲げることができます。これにより、曲面などにも設置できる上に、非常に軽量になりますので手軽に設置でき、使い道は広がります。ただ、安定性が低いためにすぐに劣化してしまうという欠点がありました。しかし、安定性は日進月歩で改善しており10年程度の使用が可能になりつつあります。価格次第では10年使用は実用的だと言えるレベルだと思います。変換効率もシリコンと同程度まで向上しています。他にも日本は原料のヨウ素の埋蔵量が多いため、原料供給に優位点があります。

そんな感じで徐々に実用化が進んでいますが、この記事ではペロブスカイトの現状を解説してみようと思います。

確か、2017年ごろに長崎のハウステンボスでペロブスカイト太陽電池が導入されたという話がありました。この時代はまだ安定化と共に高効率化が行われていました。2020年を過ぎると変換効率が頭打ちになりつつあり、実用化のための実証実験が行われるようになっています。日本では幾つかの企業がペロブスカイト太陽電池の開発を行っていますが、最先端を走っているのは積水化学でしょうか。すでに実証が進んでおり、2025年には市場投入の予定になっています。他にも東芝やパナソニックなどでも開発が行われており、2025年やそれ以降の市場投入を目指しています。

一方で、中国勢が猛追していますが、中国ではペロブスカイト単体ではなくタンデム型と言われている、シリコンとペロブスカイトなど異なる太陽電池を組み合わせて変換効率を高める方法が開発されています。これは特許の兼ね合いでバッティングを避けているのでしょうか。

いずれにせよ、我々消費者にとってはこのペロブスカイト太陽電池をどのように活かすかがポイントになると思います。シリコン太陽電池程耐久性は無いにしろ、軽くて曲げられる太陽電池が手に入ると、多くの人はまずは壁やガラス窓に付けてみようと思うのではないでしょうか。また、軽いのでそれまでシリコン太陽光パネルを設置できなかった屋根などにも設置できるようになります。その他にも太陽光が当たるスペースがあればいいのでアイデア次第で様々な使い方ができそうです。

太陽光発電の定格出力は大体1m2で200Wくらいです。もちろん、曇りや早朝、夕方では出力は落ちます。100m2に太陽電池を敷き詰めれば20kWくらいの出力になります。快晴の日では一日では60kWhくらいの電力量が得られると思います。結構な発電量になりますので、価格次第では空いたスペースに設置するのはありだと思います。

しかし、太陽光発電は日が照っている時しか発電できない、という大きな欠点があります。この欠点を補うためには充電器を設置するがいいと思います。日中に使用しなかった電気を蓄電しておき、夜間に使用すれば効果的な運用が可能です。めんどくさかったら売電してしまえばOKです。

いずれにせよ、ペロブスカイト太陽電池は2025年の市場投入が楽しみです。

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代表

マッケンジー研究所代表です