技術サポートを行っていると、やはり測定器の必要性を痛感します。しかし、測定器はそれなりの値段がするので、実験器具みたいに必要だから購入しよう、とはなかなかなりません。また、測定器には一長一短があり、オールインワンみたいな万能な測定器は存在しないので、色んな種類の測定器を導入する必要があります。さらに、サポート内容により必要な測定器も異なりますので、どれを導入すればいいか、その選択が難しく感じています。
汎用性が高くコスパ的に最もいいかな、と思うのはFT-IRでしょうか。しかし、FT-IRは有機物や酸化物の測定は出来ますが、赤外線を反射する金属の測定は出来ません。また、分子結合しかわからないので、定量化は難しくQ-massみたいに分子量も分からないので分子の特定も難しいです。
FT-IRは以前購入して持っていますが、このFT-IRに他のどの測定器を組み合わせると最も良いか、を考えるとやはりEDXかな、と思いました。
EDXはEnergy Dispersive X-ray Spectroscopyの頭文字で、EDSと書かれることもあります。EDXは試料に電子線やエックス線を当てて試料から出てくる特性エックス線を測定することで、試料中に存在する元素を特定できます。エックス線のエネルギーを測定しているので、エネルギー分散型と呼ばれます。
エックス線の波長を測定するタイプにWDXがあり、こちらは波長分散型と呼ばれています。精度は波長分散型の方が高いですが、お値段も高く装置も大きいです。微量の不純物を測定したいならWDXがお勧めですが、汎用的に使用したい場合はEDXで十分です。
元素が特定できることは非常に強力で、サンプルがどの元素で構成されているのかすぐに分かります。ただし、分子構造が分からなかったり、軽元素が測定できなかったりと、こちらも短所があります。そこで、FT-IRと組み合わせて使用することで、組成や分子構造の情報が得られるようになり、取得できるデータの幅が大きく広がり、評価がしやすくなります。
今回購入したEDXは島津製作所さんのEDX-7200です。


https://www.an.shimadzu.co.jp/products/elemental-analysis/edx-fs/edx-7200/index.html
このEDXの利点は固体だけではなく、液体や粉体も測定できることです。さらに、測定条件を調整することで、水酸化ナトリウムなど、液体の濃度を定量化出来てしまいます。EDXで液体の濃度って分かるんだ、と非常に驚きました。実際に水酸化ナトリウム水溶液測定してみると、測定結果に濃度が表示される上に、濃度にもよりますが繰り返し精度もよく、不純物もかなりの精度で測定できてしまいます。
これまでEDXを使用したことは何度もありますが、どれも電子顕微鏡(SEM)とEDXが合わさったタイプのもので、Phenomなどです。こちらはこちらでSEMで確認しながらサンプルの深さ方向の組成分析や、サンプル表面の特定の個所の測定が出来たりしましたので、最初は島津製作所さんのEDXは電子顕微鏡は付いてないんだ、とちょっと残念でした。
しかし、よくよく話を聞いてみるとPhemonなどと違い、特性エックス線を発生させるために電子線ではなくエックス線を用いているので真空中ではなく大気中でも使用できる上に、精度もよく液体もOKとなるとのことでした。エックス線の照射領域は半径10mmですので、サンプル表面の組成のばらつきはほぼ平均化されています。
しかし、その一方で酸素と炭素の測定ができません。電子ビームを使うEDXでは、炭素は測定できてもかなりあてにならない数字が出てくるのですが、酸素は測定できるので酸素が測定できないのはちょっと辛いですね。その分、設定を調整することで、他の検出された成分から酸化膜や水の存在を推定してくれます。この推定という点が精度面でちょっと不安でしたが、水酸化ナトリウムを測定してみると濃度の計算値と実測値はほぼ同じだったので、どうやら杞憂のようです。そもそもEDXを使って固体ではなく、液体の定量化ができるとは思っていなかったので、目から鱗でした。
炭素や酸素が含まれているサンプルはFT-IRを使うことである程度分かりますので、今回のEDXとFT-IRを組み合わせることで評価できる幅が大きく広がりました。
と言う訳で、EDXを導入することでサンプルの構成元素の特定や不純物の分析、さらには液体の濃度の定量化など様々なことが出来るようになりました。もし、不純物の濃度を知りたい、液体の濃度をモニターしたい、などのご要望がございましたら是非とも問い合わせフォームからご連絡ください。
弊社では実験も行っておりますので、簡易的な実験設備なら自作し、実験及び評価を行うことで御社の研究開発を強力にバックアップいたします。研究開発のために自社で測定器を購入した上で、研究開発の社員を一人雇うよりも弊社にご依頼いただいた方がコストは安くなる可能性が非常に高いです。ご興味を持たれた事業者様はマッケンジー研究所までお気軽にお問い合わせください!